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旅のカメラは一眼でなくていい ― 高倍率ズーム機・コンパクト・スマホの使い分け

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先日、白内障の手術を受けて、右目のレンズを新しくしました。すると、周りの風景が驚くほど明るく、くっきりと見えるようになったのです。これまで自分が撮りためてきた写真までが、以前よりずっと綺麗に見えて、思いがけず楽しい体験となりました。

面白いのは、まだ手術をしていない左目と見比べたときです。新しいレンズの右目と、古いままの左目。その見え方の違いは、まるで新しいカメラと、古い格安カメラを見比べているようでした。レンズが見え方を決めるという一点で、人の目もカメラも同じなのだと、しみじみ感じ入った次第です。

そんな経験をしたこともあり、今回は私が長年の旅で実践してきた「カメラの使い分け」について、お話ししてみたいと思います。これから旅行用のカメラを選ぼうという方の、ささやかな参考になれば幸いです。

※白内障の手術については、あくまで私個人の体験としてご紹介しています。見え方や感じ方には個人差がありますので、その点はご了承ください。

目次

かつては一眼レフとレンズを揃えて、楽しんでいました

私も若い頃は、ニコンの一眼レフと交換レンズを何本か揃えて、撮影そのものを趣味として楽しんでおりました。レンズを付け替えるたびに写りが変わる面白さは、カメラ好きにはたまらないものです。

旅行や日常で使ってきたカメラ4台。ニコンP520やオリンパス、格安4Kコンパクト機など
長年使ってきた相棒たち。左から格安4K機、ニコンP520、オリンパス、キヤノン

実は今でも、古いニコンの一眼レフと交換レンズ、それに二眼レフやローライの小さなカメラなども手元に置いています。これらは旅の実用というより、眺めて触れて楽しむ、趣味としての愛着の対象です。机の引き出しからは、以前使っていたオリンパスのコンパクトデジタルカメラもひょっこり出てきました。どれもかつて、旅や日常で思い出の写真を撮ってくれた、大切な相棒たちです。

ただ、正直に申し上げます。旅行に出るとなると、一眼レフとレンズ一式は、どうしても重いのです。

旅では「身軽さ」と「確実さ」を選ぶようになりました

年齢を重ねるにつれ、旅の荷物の重さは、想像以上にこたえるようになりました。重い機材は、それだけで一日の体力を削っていきます。さらに、旅先でのレンズ交換はなかなか煩わしく、大事なレンズを汚したり、落としたり、置き忘れたりという心配もついて回ります。

6月の八幡平、残雪の中に広がる青い沼。ドラゴンアイ(鏡沼)周辺を歩くトレッキングの様子
6月の八幡平。残雪のドラゴンアイ(鏡沼)からメガネ沼、ガマ沼を軽装備で巡りました

そこで今の私が旅で頼りにしているのが、レンズ一体型の「高倍率ズーム機」です。長年ニコンのCOOLPIX P520を愛用してきました。これは一眼レフのような見た目をしていますが、レンズ交換のできない、いわゆる「ネオ一眼(ブリッジカメラ)」という種類のカメラです。広角から望遠まで一台でこなせて、レンズ交換の手間も、汚す・無くす心配もありません。私にとっては、本当にありがたい一台です。

レンズ交換を楽しんだ時代があったからこそ、今はあえて「交換しない身軽さ」を選んでいる。これが私の正直な気持ちです。

私の「二台体制」― メイン機と、気軽なサブ機

とはいえ、私が旅に持っていくのは一台ではありません。メインの高倍率ズーム機に加えて、もう一台、小さなコンパクトカメラを必ず携えています。

このサブ機は、一万円弱で購入した格安の4Kコンパクト機です。正直なところ、画質を突き詰めるための道具ではありません。けれども、人混みの中や、大げさなカメラを構えるのがはばかられる場所では、これが実にありがたいのです。理由をいくつか、ご紹介します。

サブ機は「撮り逃さない保険」になります

旅先のシャッターチャンスは、たいてい一度きりです。メイン機をかばんにしまっている、ほんのその間に、決定的な瞬間が来てしまうこともあります。すぐに取り出せる小さなサブ機が手元にあれば、その「あっ」という一瞬を逃さずに済みます。多少画質が劣っても、撮れていることのほうが、はるかに大切なのです。

愛用機のバッテリー切れを、サブ機が救ってくれます

私のメイン機は長年使ってきた機種ですから、本体は元気でも、バッテリーはどうしても経年で弱ってきます。予備のバッテリーを多めに用意していても、寒い場所や長い行程では消耗が読めません。そんなとき、充電方式もバッテリーも違うサブ機が一台あれば、両方が同時に使えなくなることはありません。これは私の生活全般に通じる「一つに頼りきらない」という考え方でもあります。

画質はあとからMacで補正できます

撮影の時点で完璧を求めすぎないのも、長くカメラを使ってきた私なりの割り切りです。多少粗くても、撮ったあとにMacで明るさや色味を補正すれば、見られる写真に仕上がります。だからこそ、サブ機の画質には、おおらかに構えていられるのです。

動画もサブ機でこなせます

ちょっとした動画を撮りたいときも、このサブ機が活躍します。気軽に回せて、旅の空気をそのまま記録できるのは、思いのほか重宝するものです。

これから旅行カメラを選ぶ方へ ― 私のおすすめは「日本製」です

さて、ここからは、これから旅行用のカメラを買おうという方に向けてのお話です。私が手元に置いている機種の多くは、もう新品では手に入らないものばかりですので、今お求めになれる機種の中から、私なりの考えをお伝えします。

結論から申し上げます。私は、ニコンやキヤノンといった日本製のカメラをおすすめします。

日本製カメラは、世界で半世紀以上トップを守り続けています

これは私の身びいきではありません。世界のデジタルカメラ市場では、日本のメーカーが九割を超えるシェアを占めています。キヤノン、ソニー、ニコン、富士フイルム、パナソニックといった日本勢を合わせると、販売台数のおよそ九割四分にのぼります。しかもこの状況は、フィルムの時代から半世紀以上、ほとんど変わっていないのです。

私が若い頃に二眼レフやニコンの一眼レフを手にしていた時代から今日まで、日本のカメラはずっと世界の信頼を集め続けてきました。長くカメラに親しんできた者として、これは誇らしいことだと感じています。これから一台を選ぶなら、世界が認めてきた日本製を選んでおけば、まず間違いはありません。

メイン機におすすめの「高倍率ズーム一体型」

私の使っているP520のような、一台で広角から望遠までこなせる高倍率ズーム機をお探しなら、次のあたりが候補になります。

ニコン COOLPIX P1100 は、私の使っているP520の流れをくむ、ニコンの現行の高倍率ズーム機です。とにかく遠くまで写したいという方に向いています。

キヤノン PowerShot SX70 HS は、このクラスとしては軽めで、街歩きしながら一日持ち歩いても疲れにくいのが魅力です。

パナソニック LUMIX DC-FZ85D は、価格が手頃で、「まずは高倍率ズームを試してみたい」という方に向いた入門機です。

サブ機におすすめの「上質なコンパクト機」

サブ機も、もう少しきちんとしたものを、という方には、信頼できるメーカーのコンパクト機がおすすめです。パナソニック LUMIX DC-TZ99 は、ポケットに入る大きさでありながら、広角から望遠まで一台でこなせる、旅行向けの使いやすい一台です。

なお、私自身が人混みで使っている格安の4Kコンパクト機については、あえて商品リンクはご紹介しません。気軽に使い倒すには良いのですが、人さまにおすすめする旅行カメラとしては、やはり日本製の確かな一台を選んでいただきたいからです。

道具を整え、目を整えると、旅はもっと身軽になります

カメラの使い分けについて、長々とお話ししてきました。最後に、もう一つだけ。

白内障の手術のあと、思いがけず嬉しかったのは、小さな文字がくっきり読めるようになったことです。時刻表や案内板、手元のパンフレット、それにスマートフォンの文字まで、すっと頭に入ってくる。これだけで旅のちょっとしたストレスがぐっと減って、今までより旅を楽しめそうなのです。

秋田県角館、桧木内川沿いの桜並木。満開の桜のトンネルと、川辺のベンチで花見をする人々
角館・桧木内川沿いの桜並木。満開の桜のトンネルと、川辺で花見を楽しむひととき

カメラという道具を自分に合わせて整えること。そして、目という一番大切な「レンズ」を整えること。どちらも、旅を身軽に、そして楽しくしてくれるのだと、しみじみ感じています。重い機材を抱え込まなくても、身の丈に合った道具で、十分に良い写真は撮れます。これから旅に出る皆さんも、どうぞ気負わず、自分にちょうど良い一台を見つけてください。

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